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私は目の前の猫を見た。どう見てもロボットっぽい猫。
「さっき、『いろいろなことができます』って言ってなかった?」
「はい。うしろのぼたんをおせば、『おんおふねこ』になります」
猫がくるりと背中を向けると、首の後ろに丸い突起物がついていた。
「じゃあ、このボタンを押せばエアコンつけてくれるのね?」
「はい。ただしへんこうはいちにち1かいまでです。『おんおふねこ』はおはなしはできません」
「一日一回?」
「はい。ぼたんをおしたら24じかんは『おんおふねこ』からへんこうできません」
「24時間、オンオフしかできないの?」
「はい」
いやいや、そんな不便なスマートスピーカー聞いたこともない。
ふと窓の外を見ると、黒い雲が見えた。今朝きちんと天気予報を見た記憶がない。洗濯物はベランダに干したままだ。
「ええと、天気は教えてくれるの?」
「てんきをおしえるのは『おてんきねこ』です」
細かすぎる。天気予報を知るためにボタンを押したら、24時間天気予報しか教えてくれないのか。
「じゃあ、あなたは何ができるの?」
「ねこはおはなしができます。すまーとねこのせつめいをできるのはおはなしねこだけなので、しょきせっていではおはなしねこになっています」
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