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(13)
そしてベッドに転がったままのおっぱい餅を手に取る。
「我ながら、カンペキ!」
「……誰がモデルなんだよ?」
服を着ながら創が膨れっ面を見せる。
「まだ言うか、おまえは?」
「だって、ホンモノ見てないとカンペキになんか作れないだろ?」
「そりゃ、まあな」
「ほらやっぱり! くっそー、香織ちゃんかよ? あの巨乳がモデルなのか?」
ムクれたまま、創はもう片方のおっぱい餅に噛り付いた。
「違います。香織ちゃんはあれ以来口もきいてくれません」
二月十四日の予定を聞いた時、透が自分のモノになると確信していた香織がクラスの面前でフられたあの事件以来、透は完全に女性軍の非難を買ってしまい、最近では誰からも告白のコの字もない。
「じゃあ誰だよ?」
まだ聞くか、このガキは。
透は手にしていたおっぱい餅に創と同じように口を付けた。
「甘……」
周囲に掛かっていた粉にチョコの甘味が移っていて、甘い物が然程得意ではない透は少しだけ眉をしかめた。
「やらしー。乳首噛んでる」
まさしく絵的にはその通りで、言われた透はにやりと笑うと乳首であるところの出っ張りを舌でチョロチョロと舐めた。
「うわ、まじ、エロ」
創はけたけたと笑い出し、甘い甘いおっぱい餅をはむはむと頬張る。
「姉貴だよ」
「え?」
透は“こんな甘いモン喰えるか”とばかりにおっぱい餅を創に渡すと、残りの餅をこねこねと丸めながらポツリと言った。
「姉貴のおっぱいがモデルなの、それ」
「……まじ?」
衝撃の告白、である。
創の脳裏に透と透の姉のアブない関係がさーっと過ぎった。
「こら! 変な想像すんな、ばか」
透が慌ててその妄想を止めさせる。
「違うよ。姉貴が陶芸やってんの知ってるだろ? あいつ、アホだから自分のちちをモデルにトルソ作っててさ、それを思い出して作ったんだよ」
透の姉の妙なシュミ。
それは女性の体をモデルにした焼き物創りで、透の家のリビングと姉の部屋には、女性の足を模った帽子掛けや、女性の両手がモデルの灰皿など、さまざまな作品が転がっている。
創はそれを思い出して改めて透がさっき舐めていた方の、まだちゃんとした形が残っている方のおっぱい餅をまじまじと見詰めた。
「こらこら。今度は姉貴のちちでも想像してんのかよ?」
透たちの二つ年上の姉は、透と同じ顔立ちで凛々しいが、それが見事なくらい女性化しているのでかなりの美人である。
しかもこれだけのおっぱいを持っているというなら……。
「俺、ねーちゃんのおっぱい揉んでみたいなー」
ぼぞ、と創が呟いた。
「やめとけ。殺されるから」
美人であるが、顔が凛々しいだけあって中身も凛々しい。
創は何年か前にちょっとしたいたずらを透とした時、“はじめくーん、いたずらしてたらおねえさんがイイコトしてあげるわよお”と、物凄く綺麗な顔で、物凄く怖い声をして迫って来た姉を思い出し、ごく、と唾を飲んだ。
「うん、諦める。ねーちゃん、怖い」
「だろ? ま、おまえの好きなデカいおっぱいは持ってるけどな」
仕方が無い、自分はおっぱいのない透で我慢しよう。
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