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(9)
「いいのか?」
階段を透に付いて上がりながら問う。
「おまえ、おっぱいをお袋と一緒に楽しみたいのか?」
言われて慌てて首を振る。
透の部屋に入ると、そこには既にチョコの準備ができていた。
「餅がつけるまでちょっと待っててくれ」
餅つき機が仕事を始めると、透は黙ってそれを見つめている。
結局ヒマを持て余した創は、さっきやっていた補習の復習のため、参考書を読むことにした。
「お、えらいえらい。ま、すぐにできあがるからさ。そしたらおまえの理想の“おっぱい”をやるからな」
創は頷いて、参考書へと目を落としたが、頭の中では“理想のおっぱい”像が広がっていく。
(そうかー、餅ならもち肌ってのがあるくらいだから、きっとあったかくてやーらかくて、すべすべしてて、そんでもってなんかチョコが入ってるみたいだから食べたら甘いだろうし、いいだろうなー)
そう、透が準備していたのはスポンジケーキにくるまれたチョコレート。
そして、つきたての柔らかい餅でそのチョコを丸め込み、乳首部分には食紅で赤く色を付ける、という代物を創のための“本命チョコ”としたのである。
あたたかく、やわらかく、そしてチョコレートである、という総てのリクエストをクリアしたそれは、透の手にかかればあっという間に完成したのであった。
「どうだ、はじめ。これならカンペキに“おっぱい”だろう?」
掌に余るくらいの大きさ。
それを二つ並べて見せた透は、目を輝かせてそれを見つめている創に笑ってみせた。
「うん、うん、うん! すげー! 触ってもいい?」
「いいよ」
ふにゅ、という感覚と共に埋もれる指。
そして、ほんわかと伝わる温もり。
「おおー! これがおっぱいかあ」
今度はそれを手に取り、すりすりと頬擦りを始める。
「いいなあ。これ、すげー気持ちいい!」
「ちょっと、貸して」
暫く頬擦りしている創を眺めていた透、エプロンを外してシャツも脱ぎ去ると、自分の裸の胸に“おっぱい”を二つ並べた。
「どおだ、はじめ? これなら“おっぱいのあるとーる”だぞ?」
「う、うあーい!」
ばか丸出しで、創はそんな透にがばっと飛びついた。
「うわ、おもしれ。とーるにおっぱいがある!」
むにむにと餅でできたおっぱいを揉みながら、創は透の胸に頬擦りする。
が。
「あ、あちっ!」
次の瞬間慌てて透は餅をベッドの上に払い落とした。
「え?」
「熱っ、これ、できたてだった……」
どうやらできたてほやほやの餅はまだかなり熱かったらしく、餅を当てていた透の胸には赤く軽い火傷のようなものができてしまっていた。
「いてー」
「大丈夫?」
創は心配そうにその火傷らしきモノの上に舌を這わせた。
「あ……」
そして。
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