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しかしそれも一瞬のこと。
次の瞬間にはその光は弾けて、何百という光の粉になって散り消えた。
光が消えたそのあとに、
ぽっかりと四角く、壁に穴が開いている。
「開いた。ここまでのところは、事前情報のとおり」
カトルレナがこちらをふりかえる。灰色のフードにかくれて表情は見えない。
「じゃ、入ろう。ん? どうかしたかの、ふたりとも?」
「っつーかさ、こんな夜中にコソコソ慎重にやる必要あんの? 泥棒じゃねーんだから」
あたしの横で、アルウルが小さく舌打ちする。
「あんたねー、ここまで来て今さらブツブツ言ってんじゃないわよ。言うならもっと計画の段階で言いなよ、そういうの」
バシバシッ! とそいつの背中をたたく。
「いってーな! いちいちたたくなっつーの」
「ふたりとも、声が大きい! 館の者に気づかれてしまう」
鋭い声がとんでくる。カトルレナが白刃のロングソードを抜刀してこっちにむけた。
「ねえ、ほんとに行く気あるの? ないの? ないなら、ここからはわたしひとりで行ってもいいよ?」
「行く行く。行くってばよ」アルウルがめんどくさそうに手をふった。「おい、それな、あんまり軽々しく剣をむけんなよ。それ当たったら、それはそれなりに痛い――」
「基本が口数多いのよあんた。いいから行くよっ」
あたしはそいつの手を無理やりに引っ張った。いてぇな! こら! とかなんとか、そいつはまだ何かぐずぐず言っていたけど。
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