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壁のむこうは、深い草におおわれた広い庭だ。草丈はあたしの首くらいまである。いちばんチビのアルウルは、完全に頭まで草にもぐった。
草の海を左右に分けながら、ゆっくり着実に前進するカトルレナ。左手に持った長剣の切っ先が草の上に出て白くキラリと光ってる。あたしも続いて前進。右手に持った銀製のワンドをもう一回しっかりと握りなおす。あたしのうしろで、アルウルが二本のダガーを鞘から引き抜いた。
やがて草の海は、館の本館の壁の手前で終わった。
さっき通ってきた外壁と同じ材質の白い石壁。その壁に沿ってしばらく進むと、いちばん奥、ちょうど木立の暗がりになってる部分に、ひとつの扉があった。小さな古い木の扉。メインの扉というよりは、非常用の裏口とか、使用人が使う地味な通用口とか、何かそんな感じだ。
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