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ガッ! ガシッ!
カトルレナが大胆に足で蹴った。
三回蹴った時点で、意外にあっけなく扉はひらく。
三人同時に踏みこんだ。
そこは、ひらたく言えば台所。
舘の厨房みたいな地味なスペースだ。
舘の住人との遭遇戦も予想して、けっこうピリピリ身構えていたけど。
でも、誰もそこにはいなかった。無人。
暗い夜の厨房には大きな鍋や水瓶がいくつもならんでる。隅の方には古いでっかいカマドがあった。その横には調理用の薪が山と積み上げられ――
「さ、行こう。走るよ?」
カトルレナの合図で、夜の調理場を一気に走り抜け、そこから続く長い廊下をひたすら走る。壁には何か所か灯がともり、廊下はうっすら明るい。しかしここにも家の者の気配はない。無人だ。ん、なんだろう。これはちょっと、さすがに護りが甘すぎないか? いいのか、こんな簡単で。
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