転生は、突然に

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転生は、突然に

「お嬢様、もういい加減起きて下さい。  ほら、そうやってまたすぐにお布団に潜ろうとしない!  ダラダラしていたら、お尻を引っ叩きますよ!」  ガクガクと強く肩を揺さぶられ、そっと目を開くとそこは、明らかに日本じゃないどこぞの異国のベッドの上。  それに驚き、私に声を掛けてきた相手を目視で確認すると、その女性は黒いロング丈のワンピースに白のエプロンという、古典的なTHE メイド服に身を包んでいた。  しかしその人は残念ながら、若いというワケではない。  たぶん私の母よりも、年齢的にはかなり上だと思われる。  ......ミニスカメイドじゃなくて、本当に良かった。  それにしても、何だ?この状況は。  ......あぁ、そうか。  昨日恋愛小説を読みながら寝ちゃったから、その世界の夢を見ているのね。  あの本の描写に雰囲気が、インテリアもメイドさんの服装もピッタリ合っている感じだもの。  でもどうせならこんなご年配......じゃなかった、経験豊富そうなメイドさんではなく、イケメン皇太子 エドワード様や可愛いヒロインのアリシア、もっと贅沢を言えば私の最推し悪役令嬢 レイチェルに逢いたかった。  とんでもなく失礼な、そんな不満が顔に出てしまったのだろう。  メイドさんらしきその女性は私の布団を引っ剥がし、にっこりと......でもとてつもなく迫力のある微笑みを浮かべた。 「二度寝は、許しませんよ?  子爵様に、きつく言われているんですから。  お休みの日もお嬢様に、もう少し規則正しく人間らしい生活を送らせろと」  ......人間らしい、生活って。  室内の雰囲気からして、私はこの夢の中ではお嬢様らしい感じなのに、あまりにも酷い言われようである。  それに......子爵様?  悪役令嬢のレイチェル(レイたん)の父親の爵位は確か、公爵だったはずだ。  ......子爵ってそれに比べると、かなり落ちる気がするなぁ。  とはいえヒロインであるアリシアちゃんは確か男爵家の生まれだったから、それよりは少し上という事か。
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