フォーの聖所

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 服装と装備品からして、彼女のジョブは「アーチャー」だろうと見当をつけた。まあ、およそリアルの戦場では無謀すぎるであろう、ホワイトの薄手のチュニックみたいな軽装に、背中にかけた背丈よりも長いシルバーのロングボウを見ればそれは簡単に誰でもわかる。  ピンと立った尖り耳、グレーとホワイトの中間色の、ドライでパサついた質感のボリュームある髪を、そのまま無造作に斜め後ろに流している。これもまたリアルには不可能なヘアスタイルだ(リアルだと、重力で垂直に落ちてくる)。背丈は小柄なわたしよりさらに低くて、見た目年齢は13歳ぐらい? とても整った顔立ちだけど、一番印象的なのはその目。たぶん色はゴールド? 目の外径はわりと細いのに瞳が大きいので、この距離で見るとまるで「目=(イコール)瞳」という感じ。そのせいでちょっぴり神秘的というか、なんだか人間じゃなく、「女神的」な神々しい感じになっている。鼻は小さく整っていて、口も、とてもサイズが小さく上品だ。 「払います。4200」  その子が同じ言葉をくりかえす。その声は、「わたし」にではなく、その向こうで腕を組む怪しい船会社の男に向けられたものだ。
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