フォーの聖所

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「もう死んだはずのまりあ」から、あのダイレクト・メッセージが届いたその朝、わたしは始発のメトロで都内まで出て、神田坂駅前のコンビニで、もう飽きるくらい毎日食べているツナのおにぎりと鮭とゴマのおにぎりと、ホットのロイヤルミルクティーの缶を買い、店の前で立ったまま、いつものお決まりの朝食をすませた。霧みたいに細かい雨の降る朝で、空はまだ半分ぐらい夜で、光は弱く、九月にしては冷たい雨が、路上のあちこちに吹きだまったビニール袋やそのほかのゴミの上に音もなく降りかかっている。雨にぬれて毛がバサバサになった白黒の猫が物欲しそうにずっとこっちを見ていたから、鮭ゴマのおむすびを半分、そいつにあげた。猫はもう本気で必死でガツガツそれを食べていた。時刻は午前六時十二分。そこからまっすぐダイブカフェに足を向ける。
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