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『よかったわね、レンレン』と、チマちゃんが微笑ましそうにやさしく笑う。
『恥ずいってば』と、蓮は真っ赤になって顔を顰める。
『コタおじも元奥さんとこういう感じだったの?』と話を振られて、「さぁ、どうだったかな」と僕はとぼけた。
『ま、コタおじのことだからヘタレだったんだろうね』と、蓮は照れ隠しするように毒を吐く。
『ご想像にお任せするよ』と、僕は受け流した。
『ってか、今さらだけど、』と、蓮はハッとなった。
『俺、いつの間にこっちにいるの?!』
今さらすぎてこっちがびっくりするよ。
かくかくしかじか経緯を話すと、『あー、現世の俺の能力が発動したんだな。アレちょっと自分でコントロールが難しくて、意識がぶっ飛んじゃうんだよね。でも今ならチカラをコントロールできるかも?』
そうか、蓮は力を自制できなかったから意識が飛んでいたんだ。紅蓮とひとつになった今なら、己の能力を使いこなせるかも知れない。
『では、ゲートを作ってみるか?』
白夜に問われて、『ゲート?』と蓮が目を輝かせる。
『こちらとあちらを繋ぐゲートを作る術だ。ユーリがチマちゃんを呼び出したときに使ったのはこの術の応用で、自分のところにゲートを作り、対象の相手を呼び出す術だ。思念通話を飛び越えて空間移動した蓮なら、難なく使えるだろう』
『ちなみに、コレはボクが白夜に教えた術が元になってるんだヨ』と、ユーリが横から得意そうに言った。
『渡来するときは船だったんだけど、ボクはもう二度とゴメンなんだよ船は。だから船に乗らずとも一瞬で祖国に戻れるようにって編み出したんだ。この空間移動術を』
えっへん!と聞こえてきそうなくらい旨を張るユーリに、『さすがはケット・シー、すごいね!』と、蓮はわざとらしいくらいに驚いて見せてユーリを持ち上げた。
『白夜はソレをアレンジして、異空間移動できるようにしたんだ』
『そして私がクロエに教え、クロエはおタマに教えたようだな。彼女の家とコタ殿の住まいをゲートで繋いだのは彼女であろう』
猫神にはそんなことまで分かるんだ!
僕が驚いているからか、『術には術者の気配が残るからな』と、白夜は僕に向かって言った。
『術を自在に操れるほどの猫又はそれほど多くないのだよ。それから、術者を全て把握できるのが猫神の能力であるからな』
なるほど、猫神さまも大変なんだね。でも白夜の器なら造作ないように思う。長として統べる姿がものすごく合っているもんね。
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