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漂う怨念は嫉妬にとりつく ~ウミ編~
「なんだ!?だれでぃ!!こんな…」
「非人だしてよ!!!」
勢いよく男の言葉を遮り、恐ろしく不機嫌な口調で言い放った。
ウミが出てきた途端、バッチーーン!と大きな音が立った。
一瞬で赤く滲む頬。鋭く睨み付ける瞳。
視線を感じながらも合わせようとしないウミ。
「きったならしーーい!あんた、臭うのよ。わからない?この雌豚の臭い。」
シズはギッと睨み付けたままウミの毛髪を右手と左手で鷲掴み、両側に引き裂くように思いっきりむしりとった。
あまりに素早かったのでウミは防げなかった。頭皮を押さえしゃがみこんだ。頭皮から血が滲んだ。
シズは抑えられなかった。火に油を注ぐように血の気立ち燃えたぎる炎はマグマのように溢れだして止まらない。
すべての髪をむしりとってやりたかった。顔は原型をとどめぬまでに殴りつけ、裸にして磔にしたいと思った。雌豚の生臭い血を塗りつけてやってもいい。
非人のお前がなぜ女として愛でられる?
女の悦びを与えられるんだ?
なぜ……たかがお前ごときで男が命を懸けるのだ?
お前は化け物だ!
女の仮面を被った魑魅魍魎だ。
お前の正体を必ずや暴いてやる!
鬼のように睨み付けて唾を顔に吹き掛けてシズは立ち去った。
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