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ケンタが触れたところから熱を持って、身体の中からとろりと濡れて、彼は全身を使って私を蕩けさせた。
息をするのも忘れるくらい激しく求めあって、突き抜ける快感に溶け合って。何度も何度も絶頂を味わって、彼がその時を迎える時、私はもう自分が自分じゃないみたいだった。
『……はぁ…』
甘い余韻が吐息となって口からこぼれ出る。
「大丈夫?」
『……ん』
ケンタが私を抱きしめ、背中にキスをした。
「…すげぇ気持ちよかった」
『……ハッキリ言い過ぎ…』
「褒めてるんだよ」
それからわたし達は色んな話をした。地元のこととか、恋愛観とか。
「ケンタってどう書くの?」
ケンタは私の手を取り、手のひらに指で”健太”と書いた。
『………健太…』
「鎌田健太です」
『あ、小野間知子です』
「…トモコ?…チコって言ってなかった?」
『知る子どもって書くの。チコはあだ名』
「そうなんだ」
今更ながらの自己紹介に笑いながら、上半身を起こした健太がまた私にキスをした。ゆっくり顔が離れ、彼は切なそうに微笑んだ。
「たぶん…初めて会った時から惹かれてたと思う」
好きになっちゃいけない。遠距離恋愛はもう懲り懲り。だけど、走り出した気持ちは止められない。
「そういえば、元カレの誕生日祝いに来てたんだよな?そいつの誕生日っていつだったの?」
『…忘れちゃった…でももう過ぎたよ』
「忘れたのかよ~」
頬を寄せた素肌の胸から声が響いてくる。心地良くて、安心できて、眠気を誘う声。
『……もう0時過ぎた…?』
「とっく」
『……眠いな…』
愛おしそうに髪を撫でてくれるから、気持ちよくてもう眠る寸前。
「おやすみ」
髪へのキスを合図に、私は眠りに落ちた。
最後に健太が”俺を祝いに来たんだよ”みたいな事を言っていたけど、それも定かじゃない。私はもう、夢の中。
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