with U

8/11
前へ
/18ページ
次へ
ケンタが触れたところから熱を持って、身体の中からとろりと濡れて、彼は全身を使って私を蕩けさせた。 息をするのも忘れるくらい激しく求めあって、突き抜ける快感に溶け合って。何度も何度も絶頂を味わって、彼がその時を迎える時、私はもう自分が自分じゃないみたいだった。 『……はぁ…』 甘い余韻が吐息となって口からこぼれ出る。 「大丈夫?」 『……ん』 ケンタが私を抱きしめ、背中にキスをした。 「…すげぇ気持ちよかった」 『……ハッキリ言い過ぎ…』 「褒めてるんだよ」 それからわたし達は色んな話をした。地元のこととか、恋愛観とか。 「ケンタってどう書くの?」 ケンタは私の手を取り、手のひらに指で”健太”と書いた。 『………健太…』 「鎌田健太です」 『あ、小野間知子です』 「…トモコ?…チコって言ってなかった?」 『知る子どもって書くの。チコはあだ名』 「そうなんだ」 今更ながらの自己紹介に笑いながら、上半身を起こした健太がまた私にキスをした。ゆっくり顔が離れ、彼は切なそうに微笑んだ。 「たぶん…初めて会った時から惹かれてたと思う」 好きになっちゃいけない。遠距離恋愛はもう懲り懲り。だけど、走り出した気持ちは止められない。 「そういえば、元カレの誕生日祝いに来てたんだよな?そいつの誕生日っていつだったの?」 『…忘れちゃった…でももう過ぎたよ』 「忘れたのかよ~」 頬を寄せた素肌の胸から声が響いてくる。心地良くて、安心できて、眠気を誘う声。 『……もう0時過ぎた…?』 「とっく」 『……眠いな…』 愛おしそうに髪を撫でてくれるから、気持ちよくてもう眠る寸前。 「おやすみ」 髪へのキスを合図に、私は眠りに落ちた。 最後に健太が”俺を祝いに来たんだよ”みたいな事を言っていたけど、それも定かじゃない。私はもう、夢の中。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1230人が本棚に入れています
本棚に追加