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ダブルベッドを悠々と一人で使い、ホテルできちんと目を覚ました私。カーテンを開け、朝陽を浴び、腰に両手を当てる。 『さて…どうしよう…』 観光……買い物……ビーチ……私はガイドブックとスマホを駆使し、出掛ける先を検索した。 もうこうなったら楽しむしかないじゃない。スーツケースを開け、Tシャツと麻のワイドパンツを引っ張り出した。チラリと見えた彼への誕生日プレゼントをぎゅっと奥にしまいこんで、メイクに取り掛かる。 ホテルに戻って独りぼっちになって、どうしようもなく涙が溢れてきて、私は泣きじゃくった。そのせい?瞼が残念なくらい腫れている。でも大丈夫。メイクして、ストローハットを被り、お気に入りのサングラスをかければそれなりにみえるから。今日もカラッと明るい太陽に負けないように。 私という女は、案外しぶとい。 ホテルにもう1泊予約を入れ、目の前にあるセントラル公園に向けて歩き出した。ホワイトハウスそっくりの旧国会議事堂を見学して、いよいよ旧市街の街歩き。路上ミュージシャンの奏でる陽気な音楽を背に、メインストリート・オビスポ通りを散策する。 カフェで休憩したり、民芸品市場で手作りのお土産を見たり、雰囲気のある古い教会を眺めたり。ハバナの暮らしが垣間見える通りを歩いたり、夕方までめいっぱい時間を使って世界遺産の街を楽しんだ。 今夜の食事はどこにしよう…。パッとケンタの顔が浮かんだけれど、2日連続で同じ店っていうのもどうなの?とりあえずホテルに向かおうと歩き出したところで、「コンニチワ」と満面の笑みで話しかけてくる2人組に捕まった。ナンパ?と思ったけれど、彼らはカタコトの日本語で”サルサ”とか”パーティ”とか言っている。 「オイシイオミセ、アソコニアリマース」 どうやらどこかのお店を紹介しようとしてるみたい。 「イッショニイキマショウ」 背中に手を添えられたところで、その手を振り払うように私の腰を抱いた人がいた。
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