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それから私たちは、毎日一緒にいるようになった。
金銭的に毎日学食に行くのはつらいので、週四日は芝生の上でお弁当を食べることになった。私のお手製炒飯はいつも辛くてまずいのだけど、ミタライくんのお弁当もなかなかのものだ。毎日挑戦しているという目玉焼きは、いつ見てもどこかしら焦げ付いている。
なんだ、完璧超人じゃなかったんだ。
つい笑ってしまった。ミタライくんは神さまなんかじゃなかった。少し恥ずかしがり屋の、ただの男の子だ。
でも私にはそっちの方が心地いい。
「ありがとう」
別れ際、歩き出そうとするとまたお礼を言われた。
私は振り返ると、わざとらしく下唇を突き出してみせた。
「……〝こんなに暗くて、つまらなくて、意気地なしの僕とイヤイヤでも一緒にいてくれて、ありがとう〟?」
そう言うと、ミタライくんはぶんぶんと首を振る。
「今日も、楽しかったから……。〝楽しいお昼休みをくれて、ありがとう〟ってこと」
満足のいく答えに、思わず笑みがこぼれる。
「私もだよ。ありがとう」
ミタライくんの、無邪気な笑顔。
——彼は神さまというより、天使だったのかもしれないな。
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