神さまじゃない君と。

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  *  私がミタライくんにご飯を奢ってもらうようになったのは、一ヶ月ほど前からだった。 〝……あの。お腹空いてるなら……ご飯、食べますか?〟  お昼休み、芝生の上に寝転んでどうしたら(かすみ)を食べられるのか模索していると、そう話しかけられたのだった。  当時の私はお昼を抜いて過ごしていた。バイト代をすべて学費に回していたので、お金がなかったのだ。学ぶために大学(ここ)に来たはずなのに、講義をサボってバイトに行く日々。矛盾しているとわかっているのに、この生活をやめることはできない。  私はなんのためにここにいるのだろう。学ぶためか、稼ぐためか。卵が先か、鶏が先か。  まぁ、そんな問答はどうでもいい。  私はただ、一度でいいから学食『あさひ』の特製スペシャルマーベラスハンバーグセット(プリン付き)を食べたかったのだ。 「その男、何者?」  教室に戻り優奈にミタライくんのことを話すと、不信感丸出しな顔をされた。  そりゃそうだ。毎週金曜、知り合いでもなんでもない人にご飯を奢ってもらっているのだから。  大学生とはいえ、ちょっと路地裏に入れば宗教だのマルチだのきな臭い話をしている生徒もいるのだから、少しは警戒しないといけない。でも、おいしい餌があれば飛びついてしまうのが人間というものだ。  
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