緩芭の説明

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緩芭の説明

「何のことか分かんないけど聞いたげる。」 あからさまにほっとした様子の緩芭は、えっと、と話し始める。 「まず前提として世界は一つじゃない、ということを知っておいて欲しいんです。世界は無限にあるんです。人が人である限り。」 「世界は無限?どう言うこと?」 「麗藍さんは『世界』ってなんだと思いますか?」 真剣そうな顔の緩芭。 『世界』の言葉は知ってるし結構使うけど、改めて意味を聞きかれたら分かんない。 「え?地球の、ことだと思う、けど…?」 「えっとお、世界とは人間社会の全てのことを指しているんです。限定された社会ではなく、すべての社会の集合体、つまり人の集まりなんです。 その、人の集まりが『地球』という1つの惑星に集まり、存在している、それが今のこの地球の状態ということになるんです。なので地球も1つの世界と言うことができるんです。 まあ、より詳しく言うと、この地球のある宇宙が一つの世界、ということになるんですけど。ただ、人の集まりは今、私と麗藍さんがいるこの地球だけではないんです。他にもたくさん存在しているんです。人の想像する世界の数だけ。 たとえば、『名探偵コナン』っていう漫画がありますよね。あの『世界』も此処ではない何処かに存在しているんです。」 だめだ、もうついていけない。 「え、ちょい待ち。存在している?漫画だよ?ってか、何処に?何処か?てゆーかコナン?もう分かんない分かんない。」 頭を抱えたい。でも緩芭の口調とか真剣だし。 「そうですねぇ〜、よく小説とかでありませんか?物語、本の中に入る。そんな感じのイメージを持ってもらって。実際は少し違っているんですけれどね。人の想像する世界の数だけ『世界』はありますから。 そもそも、『想像』とは感覚や概念をそれらが視力的能力、聴力的能力または他の感覚的能力を通して自己の世界を創り出す、人間の固有能力なんです。 この、人間の固有能力によって、人間がとある世界、物語を自己ののうないで想像、いえ、『創造』することで、今私たちがいる地球とは別の空間、いわゆる『異世界』が創り出されるんです。たとえ、その創造した世界がこの地球や、人間と生態や性質が皆目違う、私たちにとって未知の世界だとしても、そこに『地球』と同じように存在しているんです。 まあ、簡単に言えば、私たち、命があり、思考も持っている生命体が考えた世界が、何もなかった空間にそっくりそのまま出来上がるってことです。」 「いや、全然簡単になってないし。わっかんないって。」 私は頭いいほうだと思うんだけど。全く分からないんだけど。
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