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俺の名前は榊 龍一(さかき りゅういち)
生まれつき、身体にほくろが多いのが俺のコンプレックスだ。
親にも昔から言われていたし、友達とプールや海なんかに行って脱いだ姿を見られた日には必ず馬鹿にされるくらいにはほくろの数が多い。
自分はダルメシアンか何かなんじゃないのかとまで思っていたくらいだ。
そんな俺も、今年で20歳の立派な男子大学生。イケイケのキャンパスライフを過ごしてはいる。こないだ彼女だって出来て華々しい大学デビューを飾った俺のバラ色ライフは、今まさに始まったばかりだと言えよう。
6月30日、いつも通り登校するために最寄り駅まで向かっている途中だった。
それは不意にやってきたのである。
工事作業中の高層ビルから何か巨大な物が俺目掛けて落下してきた。物凄い勢いで落ちてくるその鉄塊を、俺は避けきれなかった。
「あ、死んだ…」
そう思ってふと顔を覆うように両手で頭を覆うようにした時だった。
巨大な黒い円状の異空間が俺の腕の皮膚に現れ、鉄塊を丸ごと飲み込んでしまった。
あまりの衝撃に、腰の力が抜けて臀から倒れ込んでしまった。
ふと身体中を触るが無傷。それどころかさっきの鉄塊は完全にどこかに消えてしまった。
「…あれ?」
これが、俺の能力が発現した最初の話。
そして、これから巻き込まれていく大きな戦いの始まりに過ぎないってことはまだこの時の俺は、何も知るよしなんてなかったんだよな。
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