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あの時の超常現象はどうやら俺自身の能力だったらしい。でも能力って一体なんだ?
この後も"犬"からの説明は続いた。
「普通の人類には存在しない、強力な生存本能と防御能力がそのホクロには備わってる。そのホクロの、ひとつひとつが能力を持ち、お前の弾丸(ストック)として皮膚上に刻み込まれている。」
じゃあ俺はいつの間にか、無敵のスーパーヒーローみたいな力を手にしてしまったってことか?
「いや、正確には無敵じゃない。」
なぜだ?あんなに強力な力があれば何だってできる。
「お前の力は消耗品だ。力を使う事にホクロは消えていく。その消滅速度は使った力の強力さに応じて減りも連動している。だから今、お前の上半身からはホクロが消えたってわけだ。」
なんだ、そんなことか。むしろ昔から多すぎたくらいなこのホクロ達が消えてくれてむしろラッキーだったよ(笑)
「笑い事じゃない。このままだとお前は死ぬ。」
脅し文句か?
「いやこれは理論に基づいたものだ。お前のホクロはお前の生存本能と魂の具現化のような物で、全てのホクロを消耗した後にお前の心臓は停止し、全ての生命活動が止まり、その場で死亡する。」
え、それってつまり……
「お前の能力には限りがあるってことだ。そして"今朝のように"、またお前のことを狙う連中がたくさん現れるってことだな。」
"今朝のように"? どういうことだよ。
「今朝のあれは事故なんかじゃない。故意の殺人未遂だよ。お前は自分の知らない所で命を狙われてるんだぜ。」
冷や汗が止まらない。あんなことがこれからも続いていくのか。
「だから時には能力を行使しながら奴らから逃げていかなくちゃいけないな。その為に俺がいる。つまりお前が死なないようにナビゲートしてやるってこと。」
どうして、見ず知らずの俺にそこまで。
「見ず知らず、か。これから知っていくさ。」
その犬の微笑みは少しだけ闇が垣間見えた気がした。
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