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6
「安心しろ、こいつはたしかに人間だが元々戸籍なんかない抜け殻さ」
犬がそう呟いた
言葉にならなかった
ただ感触もなく、実感もなく、俺は人を殺めたんだ
「組織の連中ってのはいつもそうなのさ、俺はお前のナビゲーターだ。命も守るし心も守ってやるが他人の命まで保証はできないがな」
非情な犬だ
しばらくすると遺体が黒い液状になって地面に溶けていった
何が起きたんだ
「奴の命の欠片はお前の中の星となる」
星?
「あぁ、つまりお前のホクロだよ。それは人間の命だったものだ」
「てことはこの俺の能力って…」
「そうだ。死んだ人間の命の最後の輝きたちだ。だからその為にも遅かれ早かれコイツは俺が殺していたかもしれない。お前の方が早かった、それだけだ」
「なぜそこまでして俺を守るんだ?」
じきにわかるよ、と捨てセリフを残して"犬"は元の犬らしい姿に戻ってどこかに走り去っていった
翌日
何事もなく朝はきた
鏡の前で歯を磨いていると手の甲にもホクロが増えていることに気づいた
つまりまた俺は無意識のうちに人を…
いや、ダメだ考えるのはやめた
今日は彼女とのデートなんだ
明るい気持ちで、リア充満喫!
楽しい一日の始まりだ
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