『第10話』・・・『バナナ事件🍌』

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『第10話』・・・『バナナ事件🍌』

ノットソン  『いま、マンションのまえで、噂になってるが、やましんさんが、消えたらしい。』 ダジャレー  『ふん。社会にとって、良いことだ。』 、 ノットソン  『いま、警備庁の、米 藤鞭 警部補が、階段を上がってきている。たぶん、隣に行きそうだな。』 ダジャレー  『ふん。ほっとけ。』 ノットソン  『だって、きみ、こないだ、やましんさんから、バナナ5本もらったろ。』 ダジャレー  『まあな。かれは、ぼくのファンだから。』 ノットソン  『悪霊対策という話もある。奉納に来たんだ。』 ダジャレー  『ぼくは、宇宙妖怪だが、悪霊ではない。生き物だ。バナナも食べる。君は、まあ、食べないが、』 ノットソン  『いやあ、食べたよ。一本。ぼくは、ちゃんと味もわかる。人間の味覚を分析し、それを忠実にデータにして感じるからだ。』 ダジャレー  『つまり、バナナが1本足りないのは、君の犯行なわけさ。白状したな。』 ノットソン  『相棒だろう。当然の権利だ。まて、となりで、動きが感じられる。なんか、へんだな。』 ダジャレー  『そいつ、本物の、米 藤鞭、か?』 ノットソン  『ミス・テリーの動悸が異常だ。』 ダジャレー  『踏み込むぞ。』  ふたりは、瞬時にして、おとなりの事務所に踏み込んだ。  先日、彼女が雇ったばかりの助手が、受付付近でのびている。  相談室に入ると、なんと、そこには、巨大なバナナが逆立ちし、頭から噴火しているようなぼさぼさの真っ赤な髪の毛を振り回す、バナナ型怪獣が、いまにも、ミス・テリーを呑み込まんとしているようだ。  しかし、ミス・テリーは、ただ者ではない。  右手に持った、ワクチンの注射器💉みたいなものを、まさに、怪獣のクビあたりに突き刺した。  『ナババー‼️』  怪獣が叫んだ。  すると、まるで、ぱんださんのぬいぐるみ、みたいにおとなしくなり、やがて、やましんが 姿を現したのだ。  『やれやれ、やはり、バナナ星人に憑依されていたか。』  ミス・テリーは、自分にも注射しながら言った。  『あんたたちは、感染しないだろう。』  『でしょうな。ぼくは、映像だし、ダジャレーは不感症だし。』  『念のため、治療薬、わたしとく。』  『しかし、やましんからもらったバナナは、異常なかったよな。ぼくもチェックはしてるし。』  ノットソンが、そう、うなった。  『あんたたちは、いつ、バナナもらったの?』  『えと、たしか、おとついの、夕方。』  『やましんさんがいなくなったのは、その晩だね。つまりこうだ。あんたたちは、普通のやましんさんに会った。やましんさんは、その晩に、たぶん、散歩に行ったんだろう。そこで、バナナ星人か、もしくは、憑依された誰かに接触した。で、バナナ星人になった。』  『じゃあ、もう、感染が拡がってるだろうになあ。それにしては、世の中、静かだが。』  ダジャレーは、素直に、まともに答えた。  『そら、きみ、ほら、やましんさんは、米藤鞭さんに変身していた。夜中の散歩に出て、接触する可能性が高いのはだれかな?』  『む。警官さんか。』  『忙しくなりそうだねえ。バナナ星人探知機の販売網を作りましょう。ついでに、ワクチンや、治療薬を大量に造らなきゃ。あんたたちも、手伝いなさい。報酬は、上がりの三割ね。』  『ばかな。半々だ。』  『あら、自分が危険な宇宙妖怪さんで、退治されるの猶予中なんでしょ。』  『あーあ。マダマゼル。バナナ星人に憑いてもいいんたがな。』  『あら、退治がいっぺんにできて、最高ね。』  『む。』  それから、しばらくは、地球人と、バナナ星人との、し烈な戦いとなったのである。  しかし、地球産のバナナには、バナナ星人に対する抗体があることが、間もなく分かってきたのである。  ただし、バナナ数本などでは、たりない。  もっと、大量のバナナエキスが必要である。  政府も、闇の世界も、動き出した。  だれが、どっちなのか?  ますます、ややこしくなるばかりの地球であった。  嘆かわしい限りだ。  ダジャレーは、いまや、静かに、宇宙を見上げるのだ。  宇宙最高の悪魔妖怪と、讃えられた、栄光の時は、もはや、還らない。    ・・・・・・・・・・・・・  
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