『第11話』・・・『選挙』

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『第11話』・・・『選挙』

ノットソン  『おい、ダジャレーくん、あれ、幽霊さんだろ。』 ダジャレー  『夜だし、幽霊さんが歩いてても不思議じゃないさ。』 ノットソン  『いやいやあ、いくらなんでも、多すぎだろ。あれ!』  窓から見れば、幽霊さんの列が、延々とつながっている。  ダジャレー  『たしかに、多いな。お盆でもないしな。どこに行くんだろ。』 ノットソン  『どうやら、中学校だな。』 ダジャレー  『なんだ。赤点補習かな。』 ノットソン  『義務教育だしな。へんだよ。』 ダジャレー  『よし、訊いてみよう。』  ふたりは、マンションの前に出た。  相変わらず、幽霊さんの列が遥か彼方まで続くのだ。人間には、普通、見えない。  『あ〰️〰️。あなたは、どこに、なにしに行くのですか。』       ダジャレーが、若い女性の幽霊さんに尋ねた。  『中学校に。選挙の投票。』  表情を変えずに、彼女は答えた。  『なんの、選挙かな?』  ノットソンが重ねて訊いた。  『おじさんたち、幽霊じゃないの?』  『さよう。宇宙人でありますな。こちらは、空間投影なので、幽霊さんに近いですな。』  ダジャレーは、さすがに、『宇宙妖怪』とは、言いにくかったらしい。  まして、ノットソンは、まさに、ただの映像にすぎない。  『ふうん。妖怪みたいなもの?』  『どき。ま、そうですな。ははは。』  『なら、選挙権ないか。今日は、この一年に、呪い殺す相手を決める選挙だよ。票の多い順にいくんだ。むかしは、個別にやってたが、効率悪いし、不公平になるから、昨年あたりから選挙になった。』  『選挙なら、立候補は?』  と、ノットソンが言う。  『おじさんたち。とろいなあ。生きてることが、立候補なんだから。』  『なんと。』    ダジャレーとノットソンは、部屋に帰ったあと、ミス・テリーも呼んで、話をした。  『ああ、その話しは、先日聴いてたよ。100番まで決めるらしい。しかし、自然の状態と、何が違うか、よくわからないし、申し出る先もないし、まあ、しばらく見守るしかないなあ。』  と、ミス・テリー。  『むむむ。なんか、引っ掛かるなあ。なにか、おかしいなあ。』  ノットソンが、首をひねって、つぶやいたのだ。  『確かにそうだが、戦争と違って、裁判で、証明できないよな。』  ダジャレーが、答えた。  『ふうん。』  3人とも、深刻に、うなづいた。  テレビでは、欧州の戦争の様子が報じられていたのである。  実に、理不尽だと、3人は思った。  3人一致するなんて、奇跡である。
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