『のろい』 3=その2

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『のろい』 3=その2

 ノットソン  『へんな、依頼だね。どうするの?』  ダジャレー  『だって、きみが、電車に乗ってるのと、ほとんど変わらないんだ。』  ノットソン  『ん。まあ、そうかな。』  ダジャレー  『そうだよ。要するに、ずと、見えないままでいるか、きちんと、見えているか、どっちかに、すればいいんだ。』  ノットソン  『そりゃ、そうだけど、幽霊さんに、要求するのは、酷だろう。見えるためには、たいへんな、エネルギーが必要だ。しかし、まったく見えないと、幽霊の意義がない。そもそも、なんで、電車に乗るんだい?』  ダジャレー  『そうだね。でも、よく、タクシーには乗るだろう。電車に乗って、おかしくはないさ。ぼくの知るところ、向町には、かつて、処刑場があった。駅前から2キロくらいの、丘の上だよ。今は、下にトンネルが走っている。斬首刑は、制度上明治時代の始めまで、続いていたんだ。廃止されたのは、明治15年だ。実際に執行された例もある。遺体は、自縛霊園の一角に埋葬されていた。つまり、この自縛霊園と、向町という経路には、なにかしらの因縁はありそうだな。』  ノットソン  『この国では、死刑が続いているしね。』  ダジャレー  『まあ、そうだ。それは、国民が決めるべきことだが、先進国では少数派だ。しかしだ、今回のこの問題、問題かどうか、問題だが、とにかく、この、『さ迷える魂、救済センター』というところを、探し当てなくてはならないね。聞いたことないよな。』  ノットソン  『ぼくの、データベースにもない。ネットでも、ほら、当たらないよ。』  ダジャレー  『これは、幽霊サイトだな。危険地帯だ。複数のゾーンがあって、生きてる人間は通常入れない。が、ダジャレーは、別だ。この、幽霊パソコンなら、ほら。もう、見つかった。やはりな。』  ノットソン  『これは、のろい地域のサイトだ。超危険地域だね。』  ダジャレー  『ああ。普通の人なら、すぐにのろわれる。しかし、ダジャレーには、のろいは、歯が立たない。連絡してみよう。あ、と。‘’拝啓、こんばんは。ぼくは、宇宙冥界探偵ダジャレーです。お尋ねがあります‘’、と………………』  
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