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おいおい...売春かよ。
「なんでもします!」
どんなプレイでもするってことか?もっと自分の身体大切にしろよ...俺は心の中でそんなことを考えた。
「あのな、俺はそういう趣味はないし彼女もいるんだよ。早く家に帰りな、両親が心配するぞ」
俺は止めていた自転車に跨ると、アイツは少し寂しそうな表情でこっちを見ていた。
男の俺がこんな表現はおかしいかもしれないが、母性本能を刺激するとはこういう事なのか。
しかし俺はクタクタで早く家に帰りたかった。
広場を後にして少し来た所で俺は自転車を止め、立ち止まった。
もう帰っただろうか?
寒空の中、上着も着ずにパーカー1枚で...
売春で生活してるのか?それとも家出でもしてきたのか?
俺はアイツのことが気になって仕方がなかった...別に俺は男が好きな訳でもないし、本当に付き合っている彼女もいる。
しかし未成年の子供がこんな時間にあんな場所で身売りをしているのが俺には解せなかった。
そりゃあ世界中、何処にでも色んな事情でそんな事をしている子供はいる...悲しい現実だ。
俺だって綺麗な世界ばかりを見てきた訳ではない、ちょっと繁華街へ行けば人間の欲望が渦巻いているし、治安が悪い地域へ行けば嫌なものばかり見てしまうし自分の身も危ない。
だから俺は別に聖人ぶっている訳ではない。
あんな綺麗な顔してるんだ...すぐに相手なんて見つかるだろう。
どうして俺は家に帰らずに広場に戻っているんだっ!?
放っておけばいいだろ..あんなガキ。
広場に戻るとあの少年はベンチに座っていた。
俺は心の何処かでホッとした自分がいた...
「ほら、これ飲めよ」
俺は戻る途中の自販機で購入した温かい缶コーヒーを渡した。
少年は驚いた表情を浮かべ
「あっ!ありがとうございます..」
と、寒さで鼻と頬を赤くさせながら礼を言った。
俺が隣に座ると、少年は口角を上げニッコリと笑った。
念を押しておくが俺は男が好きな訳ではない...しかしこの中性的な少年には何か人を惹きつける魅力を持っているような感じがした。
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