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「君..名前は?」
「ウィル」
このウィルという少年は警戒心がないのか人懐っこいのか、本当に不思議な奴だった。
「年は?」
おいおい...これじゃあ、補導してる警官みたいじゃないか...
「17」
これは意外だった、15~6だと思っていたからだ。
童顔だからそう見えたのだろう。
「どうして夜遅くにこんな場所に居るんだ?親が心配するぞ」
俺の言葉にウィルは缶コーヒーを両手で握ったまま、黙って俯いていた。
何だか訳ありのようだな...英語は話せるけどイギリス人じゃなさそうだし。
「行くとこないのか?」
ウィルは俯いたまま、頷いた。
「取り敢えず俺のアパート来るか?」
その瞬間、ウィルは目を輝かせながら
「いいんですか!?」
と、俺を見た。
「こんなとこ居たら風邪引くし、..未成年を放っておけないだろ」
..ったく、俺はいつから世話好きになったんだよ。
「ありがとうございます!..えっと...」
「俺はリアム」
「ありがとうございます、リアムさん!!」
こんな女の子みたいな顔した美少年に近くで満面の笑顔をされたらノンケの男でもドキッとしてしまうだろう...実際に俺がそうだからだ。
「家まで少し距離があるけど歩けるか?」
「はい、大丈夫です」
俺達は広場を後にし、俺は自転車を引きながらウィルという少年と歩いた。
鞄すら持っておらず、見た感じスマホすら持っていないようだった。
家に来るかとは言ったものの、それからどうするかは全く考えていない...
捜索願いが出ているかもしれないから警察に連絡した方がいいのだろうか?
そんな俺を余所に隣を歩いているウィルは無邪気な表情で歩いている。
やれやれ...
俺は自分の人の良さに少し呆れてしまった。
本当なら今頃はシャワーを浴びて寝る前の晩酌でもしているはずだった。
明日は仕事が休みで良かったぜ...
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