《2》

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「ちょっと大きかったな」 俺はつい笑ってしまった。 「全然構いません、本当にありがとうございます」 俺は自分の首に掛けていたタオルを手に取り、ウィルの髪を拭いてやった。 まるで子供の髪を拭いてやる、父親のような気分になった..まぁ、それは言い過ぎか。 「明日、洋服とかお前の必要なもの買いに行こう」 「えっ!!」 ウィルは驚いた表情を見せる。 「..ずっとって訳にはいかないけど、暫くお前をやるよ」 もちろん飼うなんてのは冗談だ、コイツが言っていたのはではなくということだった。 俺は本当にどうかしている... しかしコイツを放っておくことが出来なくなってしまった。 まぁ、二人で暮らす分には問題ない広さだ。 「ありがとうございます!!リアムさん」 ウィルは余程嬉しかったのか、俺に抱きついてきた。 「おいっ、やめろって」 でも何故か..悪い気はしなかった。 「..一つ確認しておくけど、お前の両親は捜索願いとか出してないのか?」 ウィルは少し物悲しげな表情を浮かべた... 「親はいません...」 「あっ..悪かった..」 その場の空気が重くなったと思ったらウィルはすぐに笑顔に戻り、 「いえ、大丈夫です!」 と再び元の空気に戻してくれた。 コイツの今に至るまでの経緯やとにかく全てが謎に包まれている。 しかし暫くは“謎の美少年”という称号をコイツに与えておこう。 「俺はソファーで寝るから、お前は俺の部屋のベッドで寝ろ」 「僕がソファーで寝ますよ」 「子供がそんな気を使うな」 するとウィルは何かを思い付いたような表情をすると、 「それじゃあ一緒に寝ますか?」 と無邪気に笑った。 「早く寝ろ」 「はい、それじゃあお言葉に甘えて..おやすみなさい」 そう言うとウィルはリビングを後にした。 俺はソファーに横になり毛布を掛けると、そのまま暫くテレビを観ていた。 今夜は本当に色々あり過ぎて疲れた...アイツはもう眠っただろうか? 一体これからどうなることやら... 俺はウィルを住まわせたことは後悔していなかった。 しかし少し自分の行動が軽率過ぎたかなと思ったが、俺は睡魔に勝てずに眠ってしまった...
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