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次の日___
俺が朝食の仕度をしていると、ウィルが慌てた様子でダイニングへとやって来た。
「おはようございます!!すみません..ちょっと寝坊してしまいました」
「おはよう、寝坊なんてしてないぜ。それよりよく眠れたか?」
「はい!お陰様で。久しぶりにあんなフカフカのベッドで眠ったので、寝過ぎてしまいました」
ウィルはいつもの無邪気な笑顔を浮かべる。
一体どんな生活を送っていたのか俺は気になったが聞くのはやめた。
朝からするような話ではないし、きっとその内コイツの口から話してくれる気がした。
「ほら出来たぞ、朝食済ませたらお前に必要な物買いに行くからな」
「はい、..何だかここまで良くしてくれて、本当にありがとうございますリアムさん」
「いつか恩返ししてくれよな」
俺は冗談だと分かるように話すと、ウィルは笑いながら「はい」と返事をした。
食事をしていると机に置いていたスマホが鳴り出した。
着信は“エレナ”からだった。
俺はスマホを手に取り、廊下の先の自分の部屋へと駆け込んだ。
「おはよー、リアム。デートの約束忘れてないでしょうね?」
「おはようエレナ...実は今日、急に用事ができて..」
俺としたことがうっかりしていた、昨日の夜からバタバタしていてエレナとのデートの約束をすっかり忘れていたのだ。
「えー!久しぶりのデートだったのに...。まっ、仕方ないね。その代わり次会ったら何かご馳走食べに連れてってね」
「分かった。..エレナ、本当にごめん」
「いいよ。愛してるよ、リアム」
「俺も愛してる」
電話を切ると、ウィルが困ったような表情で突っ立っていた。
「..あの、リアムさん...何だか僕のせいで本当にごめんなさい..」
電話を聞いていたようだ。
「お前のせいじゃないから気にするな」
俺は無意識にコイツを安心させようとして小さく笑みを浮かべた。
「ほら、食事に戻ろう」
「はい」
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