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ノノバラは、ベッドにて、毛布にくるまって縮こまっていた。降雪ともなれば、彼のような年代が胸を躍らせて外へ飛び出していく様が時折として見受けられても、今日のような吹雪となれば、ただただ引きこもるのみであった。あまりにも風速が強いので、もしかすると家屋なんて吹き飛ばされてしまうのではないだろうかと、被害妄想じみた憂慮をしてしまうほどであった。そんなおびえた様子のノノバラとは違い、カノンは、いつもと変わらぬ様子で淡々と朝食をこしらえていた。少しでもノノバラに元気を出してもらおうと、彼の好物であるオニオンスープを作っているにもかかわらず、依然としてノノバラは萎縮していたので、調理を一旦やめて歩み寄った。それから毛布をおもむろに剥ぎ取って声をかけた。
「ほら、ノノちゃん。もうすぐ朝ごはんができるから、ベッドから出なさい」
尚以てノノバラは、うずくまっており、梨の礫であった。
「そんなに怖がっていたって、吹雪は止んでくれないわよ」カノンは、ノノバラを抱きかかえると、食卓に運んでいって、席につかせた。
ノノバラは、ちょこんと席に腰かけて、気落ちしたように呟いた。「おうち、飛ばされたらどうしよう…」
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