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聞いたノノバラは、純真さによって喜び、「じゃあ、お留守番する!」とカノンの耳元で頷いた。
「いい子」カノンは、ノノバラをより一層強く抱きしめてやり、その頭も撫でてやった。「じゃあ、行ってくるから。風邪をひかないよう暖かくしてなさいね」
カノンは、行き倒れた男を引きずって家屋の外に運び出し、そのまま戸を閉めて出かけて行った。吹雪く中での外出だというのに、薄っぺらい外套すら着て行かなかったが、ノノバラは、特段心配していなかった。抱擁で与え合った温もりが、彼女にも永々と残っているだろうから。
豪雪が止んだのは、昼過ぎであった。カノンが農村の外れにある林中にて、凍死体となって発見されたのも、大体その頃であった。さながら積雪をベッドのようにして安らかに眠っていたという。目立った外傷もなく、単なる事故死として処理された。ただし、あの砲金色の結晶が遺留品になかった事については、今なお気がかりである。
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