王様

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王様

 いかにも王様然としたでっぷり太った男の前に、これまたいかにも王様の側近然とした、頭の禿げあがった初老の男性が王室で話をしている。 「王様、今回の判決を受けて、凶悪犯罪者の収容人数が二万人を越えました。これはこの王国の恥であり大きな問題であります」  国民はおよそ一億人。実に五千人に一人が凶悪犯罪者という計算になる。 「病気などで生きたくても生きられない人がいる中、殺されて命を落とす人間の無念さときたら無いでしょう」 「うぅむ」  実際このところの国の情勢に王様は頭を悩ましていた。国民からの税収は安定しているものの、若者の多くが根本的に働く意思が欠落している。働いても思ったほど稼げないと、衣食住の提供が無料の刑務所に望んで入るものが後を絶たない。  その中でも凶悪犯罪が年々増している。  裕福な人達も沢山いるが、格差の大きな開きはこの国の問題だった。 「国民たちの不満は溜まりつつあります。その結果、このような凶悪犯罪者が多くなってしまっているのでしょう」 「わかっている。砂垣の言いたいことは重々承知だ。では私にどうしろと言うのだ」  王様は声を荒げた。
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