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 今朝ネットニュースで殺人犯に仕立て上げられ、全国指名手配にされて気が動転していた。  逃げなくてはという気持ちばかりが先行して、なぜ追われなくてはならないのかは考えてもみなかった。 「少しここに隠れててはいかがですか。わたくしが身の回りのことはできますし、ここにいれば安全かと思われます」  仁は考えた。  本当に安全だといえるだろうか。  もちろん、一人で逃げるよりは心強いが、いずれはここにも捜査の手が忍び寄る気がした。王様命令ということは王室警察も必死で探しているはずだった。完全に安全と呼べないにしろ、ほかに行く当てはない。 「しばらくいさせてもらってもいいですか」 「もちろんです。仁様のお役に立てて光栄です」  充は顔をしわしわにして笑顔を浮かべた。 「無事に逃げられたかしら」  心配そうな表情を浮かべるのは望だ。事務所の親方の机に腰掛け、親方と話をしている。 「健吾の話だとそのなんとかって人と逃げたって言ってたけどどうだろうな」 「何とか逃げ切れればいいけど」  親方の目の前の灰皿には山盛りの吸殻が盛られていた。
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