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「――3人目は、辺境地ゲーナインより! 父君はかの特別技工士コクトー=クワッガー=ボガード! 聖都の皆様方にも大層な人気を誇る王国きっての大職人! 3代前の失策より貴族位を剥奪されても、その名誉ある功績により特別貴族として讃えられます! その一人娘が、この場に立ちます!
レベッカ=クワッガー=エーデルフェルト=ボガードッッッッッ!!!!」
「うわっ――!?」
セバスチャンがレベッカの名前を叫ぶと同時に、アリーナへと"転送"された。
しかも、移された場所は、第4ピリオドまでに大きく隆起したところであり、うまく着地できずに思わず尻もちをつく。
「っ――!」
視線を上げ、緊張感が押し寄せる。
身体を揺らす鳴り止まない歓声に、焦げ付いた土の臭いに、鼻をつく腐臭が混ざる。鉄臭さが漂う空間に、至るところに酸化して黒く変色した血の池が形成されていた。
物体こそ無いが、すでにここで20人ばかりの若い命が散ったことを物語っている。
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