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「どんな関係でもいい。おまえの好きなようにしろ」
そう言われてしまって秀治は口をハの字に開くことしかできない。もっと形の見えるものにしてほしかった。見てわかる確かなもの。それを秀治はずっと求めていたから。
「じゃあおまえから付き合えって言えよ。言わなきゃもう話さない」
これでどうだとふんぞり返って秀治は降谷の反応を待つ。すると、馬鹿馬鹿しいというように憐れむような目でこちらを見てきた。こいつこんな顔もできるんだなと思って心の中で笑う。でもまだ付き合えとは言われていない。自分でも頑固だとは思うが、一度くらいはこの男にお願いされてみたい。
車はどんどん進んでいって寮の前に着いてしまった。タイムアップだなと思って助手席のシートベルトを外そうとすると降谷にその手を制された。いつになく真剣な眼差しで秀治のことを見つめる。
「秀治。俺と付き合え」
やった。とうとう言わせてやったぞ。心の中で大きなガッツポーズを取る。にひひと笑って返事をしようとするとそんな暇もないうちに口を塞がれる。
降谷の弾力のある舌が秀治の歯列をなぞるように行き来する。顎を持ち上げられ深いキスを味わえと言わんばかりに口内を舐られた。息継ぎなしで二分が経過した頃、秀治は酸欠で今にも意識を失いそうになっていた。
「っは」
ようやく口を離してくれた降谷だったが、間髪入れずに二回戦を始めようとするので秀治は手のひらで口を押さえる。朝からこんなに盛りやがって。こいつは肉食獣かっ。
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