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教室では、できるだけ身を屈め、頭の上を吹き抜ける風を極力避けるようにしていた。
周りのクラスメイトからは、出来れば教室内にある備品、あまり注目されることのない古びた花瓶とか、そんなもののように見られていたかった。
埃をかぶった花瓶に語りかける物好きはいない。
ただ――もし、心根の優しい男子がいて、その子が誰にも見つからないように、放課後そっとこの身に花を挿してくれたのなら、それはそれで嬉しかっただろうけれど。
放課後は天国だった。
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