6人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
初めての恋
1時間かけて自宅の最寄りの駅まで電車に揺られ、そこからまっすぐ家に帰る。
部屋に入れば濾過器により清明な水をたたえ続ける湧水池のような水槽が私を待っていた。
LEDの水槽ライトに照らされたその30㎝ほどの小さな世界には、水草とその間を優雅に泳ぐ2匹の金魚。
そんな彼らの世界に手出しするのは2週間に1度の換水の時だけ。彼らの世界を見つめ元気な様子を確認すると、私はスマートフォンを取り出した。
普段は、母との連絡ツールもしくは、小さな世界の住人たちのこと、草花のことを調べたりすることくらいしかしたことのないその機械で、私はマッチングサイトを開いた。
最初のコメントを投稿しよう!