初めての恋

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秋も深まり始めた頃で幾分か肌寒さも感じる時分であったが、私の心臓は声高になんとも勇ましいアリアを歌っていた為、肌寒さなど二の次である。 こんなにどうにかなりそうな心拍数で、彼に会った瞬間に本気で心臓発作か何かで死ぬんじゃないかと思っていた私は平常の人間のそれより遙かに早い数で生きているハムスターなどの小動物からすれば笑いものだろう。 「――さんですか?」 駅前のベンチに座り込み、緊張と不安で吐き気を催し青白い顔をする私にひとりの男性が声をかけてきた。 「へ…?」
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