初めての恋

8/22

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
しばらくの間の後、震える声で言葉を慎重に選びながらおずおずと私は訊ねた。 彼はその言葉に、一つ頷くと微笑んだ。  「はい。そうです。初めまして、市川です。市川将生」  「あ、私は日和(ひより)です。高梨、日和…」 ふっと彼が笑った。 不器用ながら私は微笑んだ(つもりだったが彼の目にはどう映ったのだろう)。  互いに恥ずかしかったのだと思う。こんな形で異性に出会う出会いに、私たちは慣れていなかったのだ。  その日はだから、本当の意味での私たちの初めての出会いとなった。 「さて、それじゃあ行きましょうか」
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加