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私には男性との甘美な思い出など持ってはいなかった。
初めてのキスも、セックスだって経験していなかった。基本的にはいじめられた思い出だけ。
スタートはかなり周りから遅れをとっていたと思う。どうだ、と自慢することなどできないけれども、卑下したくなるほど貧弱な経歴でもないと思う。
だけれども、この日、7つ上の彼の導きによって、私はひっそりと静かに人生の分水嶺を越えたのだった。
好意はあったと思う。同情だとは思いたくない。
私たちはイタリアンレストランを後にした。
美術館に寄り、私の住む県で有名なお城を見に行って、それから昔ながらの町並みを見て歩いた。
美術館では、飾られた様々な美術品を眺める彼の横顔にすっかり見惚れてしまっていた。
その後に、カフェに寄り休憩をした。
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