出会い

1/10
前へ
/57ページ
次へ

出会い

彼は、風変わりな男性だった。  まるで、あの絶滅への道を歩んだドードー鳥の最後の一羽みたいに、失われてしまった人間の美徳である何かを、たったひとりで継承していた。 すごく無垢で、だからとても傷つきやすくて、宇宙ロケットで地球の周りをぐるぐるまわったライカ犬のように、彼は澄んだ怜悧な目で世界を見渡していた。  彼と出会ったのは20歳の秋だった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加