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再会
私は、空を飛ぶペンギンだった。望みようもない高みに、彼の導きで私は昇った。
星が近かった。
そしてそこからは、地上にある汚れたものや醜いもの、心を悩ます全てのものが、まるで美しいタペストリーのように見えていた。
それが幸福だった。
それから彼はいなくなり、私はただのペンギンになった。突如訪れた悲しみであったが、私には空の記憶と、風切り羽を持つ彼との思い出が残された。
つまり私はときおり悲しみにおそわれる、そこそこ幸福なペンギンになった。
そうして、半年の月日が流れた。仕事も2年目を迎え不安神経症という精神疾患を抱えながらもどうにか働いている日の事だった。
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