再会

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その日はたまたま休日で、私は家の掃除をしていた。 『ピロリン』 耳慣れた着信音に手を止め、私は携帯を手に取った。 好きなゲームキャラクターの映るロック画面には【新規メッセージ1件】の文字。 タップして開き、視線を文面に走らせた。 それはすぐにそれと分かる懐かしい文面だった。 見間違いようがない。 将生さんだ。 「こんにちは」 から始まる文面。 私はおそるおそるアイコンをタップし全文を開いた。 怖いからではない。ほんのちょっとの気の揺らぎのようなものが、目の前には居ない彼の存在をかき消してしまいそうな気がしたからだ。 幸福の儚さを半年前別れと、父と祖父母を失った事によって知っていたから。
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