想い

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アパートの部屋に入ると、彼は再び私を抱きしめた。  「逢いたかった…ずっと想っていたんだよ。別れて半年、ずっと」 その言葉が真実ならば、どれほど嬉しいか。  「そうなんですか?」  「信じられないかもしれないけど、そうなんだ」 私は完全に自信をなくしていた。だいたい私みたいな人間との復縁を何故、彼は選んだのだろう?私でなくとも、他の元彼女さんたちでも良かったのではないだろうか…?すごく不思議な気がしてくる。 彼に抱きしめられたときの感触。温もり、彼の匂い。 いつか交わしたかもしれない、何気ない会話のリフレイン。 彼と半年も前に別れてしまったのが嘘みたいな気がする。私は、もしかしたらハリウッドの映画みたいな夢を見ていて、たった今目覚めたところなんじゃないだろうか? しかし、彼の言葉がそれを否定する。 「でも、かわいくなったね、本当に。大人っぽくなった」 それから、彼の部屋でいろいろと話をした。半年間にあったことを。
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