想い

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なんだか緊張していた。に冷めてしまったはずの愛はまだ私の中で声高に歌っていた。なんとも勇ましいアリアだ。 「ねえ」 と彼が言った。 「は、はい…?」 「さっき言いかけたこと、教えて?」 その声が、私の中の何かを手繰り寄せる。その何かは胸の中で広がり、喉元まで溢れると、鼻の奥と瞼の裏に駆け上り、私は泣きたくなった。 「分かりました」と私は言った。 「続きを話します」
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