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眠れない夜が続いた。苦しみから逃れるために眠りたかったけれど、眠れないことでさらに苦しみが増えてしまった。
2月の結婚記念日を越えたある晩。
暗い部屋で私は、お酒と一緒に大量の薬を飲んだ。
彼の余っている薬と自分の余っている薬を飲めないお酒で無理矢理流し込んだ。
ふわふわとしてとても気持ちが良かった。
翌朝、私は病院に運ばれた。当然の帰結だった。
何が辛かったのかも分からない。
ただ、「死にたい」とそれだけだった。
――日和!
誰かが私の名前を呼んでいる。
――日和!
煩わしく思いながら目を開けると、霞んだ視界に誰かの顔が映った。見慣れた誰かの顔が。
「将生……さん……?」
くぐもった声で私はそう言った。ひどい眠気に、また目を閉じようとすると
「起きて!寝たらだめだよ、日和!何飲んだの!?」
と、必死に将生さんが声をかけてくる。
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