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「じゃあ今日の配信はちょっと早いけど終わりな!」
惜しむリスナーに、そのうちすっげーことする予定だから楽しみにしてて、と含みを持たせてLive配信を終了した。
11時まではまだ30分ほど時間がある。特にやることも無いため、シノでエゴサーチをしてコメントを眺める。やはり、さっきの言葉が効いたようだ。コメントには「シノくんなにするんだろう!」と楽しみにするコメントが多い。ニヤニヤしながらエゴサーチを続け、気づけば時計は10時58分を指していた。
メールは、11時きっかりに来た。メールを開けるとすぐに「合格」の文字が飛び込んでくる。「まあ当然。」田村は呟き、メールを読み進める。おめでとうございますという文言に続き、合格の方はこちらのURLをクリックしてくださいとある。おそらくゲームのリンクだろう。田村は、意気揚々とリンクを押し、そして気を失った。
「あの、大丈夫ですか?」
誰かの声が聞こえ、田村はうっすらと目を開ける。頭が痛い。
「ああよかった。すみません、まだ気を失っている方がいるので俺は行きますね。」
目が開いたのを確認すると、田村に声をかけた男は安堵の表情を浮かべ、早口に言った後、近くの人に駆け寄っていった。
俺は何してたんだっけ…てかさっきの人誰だ…
「……は?」田村は、体を起こし、現状を確かめようとしたが、目の前に広がっている景色に絶句した。
目の前には、広大な見知らぬ土地、それと人。倒れている人もいれば、動き回っている人もいる。
記憶を失う前、確かに自分は部屋で一人だったはずで……
夢でないかと頬をつねったが、痛い。
田村が狼狽していることに気づいたのか、さっき田村を起こしに来た男が再び田村に近づいた。
「だいじょ……「ピンポンパンポーン」
男が田村に話しかけると同時に、大きな放送音が鳴り、会話が中断させられた。
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