3/6
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 明るい音と同調するように、空から高らかな声がそのあとに続く。  「Guten Tag!皆様、この度は『End Leben』へのご参加ありがとうございます。こうして無事、皆様がへいらっしゃったことを大変嬉しく思っております。えー、では早速、ゲームの説明に入りたいと思います。ルールとして……「おいちょっと待てや!ふざけんな、!」  田村含め、全員がハッと呪縛が解けたように体が動き、声の主を見る。  「……おや?どうかされましたか?」  「どうかされましたかじゃねーよ。ここはどこだよ、俺らをどうするつもりだ。」  「ここはゲームの中ですよ?皆様ゲームをしに来たんですから。」  空からの声は、当たり前でしょう?とさらに続ける。  「ゲームの概要欄に記載していました通り、プレイヤーはあなたたち自身です。だからこうしてに来ていただいたのです。ああもしかして殺風景だから気に入らないんですか?すみませんねえ、急遽トライアルルームを作ったものでして。次回からはきちんとしたステージをご案内しますからご安心を。」  「っんなこと言ってんじゃねえよ!どうやってここに連れてきた。てかお前は誰なんだ。どこにいるんだ。」  男は、空をにらみつけ早口でまくし立てる。男の声が引き金になったのか、「そうだ!ちゃんと説明しろ!」「ふざけるな!」と声が重なる。    空の声はしばらく黙った後、「は~~~~~~~~~~~~~」とわざとらしく深いため息をつき、だから嫌なんですよ最初って、とブツブツ呟いている。  「おい、何か言え……っ!?」男が催促の言葉を口にしたが、言い終わる前にその言葉が途切れる。男だけじゃなく、ヤジの声までも。男たちはただ、口をパクパクと開閉している。まさか……。田村も声を出してみようとしたが、ただ空気しか出なかった。  そんな焦る様子が面白かったのか、楽しそうな声が空から降ってくる。  「おやおや皆さん、そんなに口をパクパクと。少しミュートにしただけですよ、安心してください、お帰りになった時には声は戻っていますよ。」  まあ、あなたたちがそれ以上何もしなければ、ですが。背筋の凍るような声でそうつぶやいた後、高らかな声に戻る。今度は誰も動かなかった。  「えーでは、ルール説明を。ルールは至ってシンプルなものです。ただ皆様は敵から逃げていただく、所謂かくれんぼです。ステージには建物や壁など様々に隠れられる場所を用意しておりますのでご利用下さい。ただし、ずっと同じ場所にいる、というのはゲームとして面白みがありません。そのため、プレイヤーが3分、同じ場所にとどまっていると敵に通知がいき、居場所が見つかってしまいますのでご注意を。ああそれと、もし、敵に見つかった場合、対抗することができます。対抗手段としては皆様の独自スキルに従って種々様々なのですが、それは本番のお楽しみということで。敵に勝てば、その時点でプレイヤーの勝利。しかし、各ステージでは勝利人数が決まっています。現時点で15人のプレイヤーがいるため、第1ステージでは10人までに絞っていただきます。第2ステージでは7人、第3ステージで4人、そして最終ステージで残った1人が、このゲームの優勝者となります。そのため、敵を倒した時点でプレイヤー数が超過している場合には…皆様ので決めていただきます。」  楽しそうでしょう?と空の声はふふふと含み笑いをし、「以上です。」と話を結んだ。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!