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 目が覚めたらすでに夜9時を回っていた。と同時に空腹であることを知らせる音が鳴る。  ―――とりあえず晩御飯を食べるか。  そう考え、冷凍食品を温め、遅めの晩御飯を済ませる。  そのあとは適当に過ごした。実際にはエゴサーチしたり、溜まっていた録画を見たり、様々なことをしたが、頭は別のことでいっぱいだった。  そう、昨日の最後、空の声は確かに「明日は10時45分に」と言った。今の時刻は10時30分。あれが夢でない以上、今日ゲームが行われるはずなのだ。  時計の秒針がやけにうるさい。チクタクとまるでカウントダウンをしているみたいだ。時計は10時43分を指している。時計から目が離せない。時間が進むにつれて、田村の心臓の鼓動も早くなり、ドクドクとチクタクが歪んだリズムを生み出していた。  残り30秒、といったところでピピッとパソコンから音が鳴る。ぱっと振り向くとパソコンが起動している。ボタンを押さずしてパソコンが起動するはずがない。なんでもありかよ。うるさすぎる心臓のわりに頭は冷静だった。  そのままパソコンから目を離せずにいると、画面に文字が現れる。  『お迎えに参りました』  その文字を目で追った、と同時に体から力が抜けていく。田村は意識が薄れる中、時計へ目線を向ける。時計はやはり10時45分ちょうどを指していた。
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