終章 二

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 今日はジルが長居しないと言うのでお茶を出すだけだったが、次はレオンも連れてきて一緒に食事をしようという話になった。 「でもそれならマルグレト様とエルジナ様も一緒でもいいし、そうなるとメリアナ嬢を連れてきても……」 「同世代の親族の集まりみたいになるわね」 「まあ、レオンはまだ君の結婚が決まって傷心中で、マルグレト様にはしばらく会いたくないらしいから、そのわがままが落ち着いたら親族の集いをしよう」 「マルグレト様に拗ねても仕方ないじゃない。困った子ね」 「とりあえず君に会いたがってはいたから、食事でなくても一度連れてくるよ」 「わかったわ」 「そういえば、レオンがアレンのことを気にかけていてな。一度グランシェドに会いに行こうかと言っている。あんなに仲が悪かったのに」 「まあ、レオンが? それは……」  意外、でもないのかもしれない、と私はその時初めて気づいた。  アレンがレオンに対してだけあんなにムキになっていたのは、二人がライバルだったからなのだ。  つまり、私がマルグレト様と結婚できなかったら結婚しようと言っていたレオンは、アレンにとって看過できない存在だった。そしてまた、レオンもアレンの気持ちに気づいていたのだろう。  それにしたって、私の失敗を前提にライバル関係になるなんて、全くもって失礼な話だわ。  
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