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幼少時から共に育った家族のような仲だということ。一流の剣の腕を持ち、私と共に王都に出てきて以来ずっと護衛を務めてくれたこと。私が安心して出歩けたのは彼が隣にいてくれたおかげだということ。私に絶対的に従ってくれる一方で、思うままに意見をくれる貴重な存在でもあること。ここに連れてきたかったが、私に対して恋愛感情があることがわかったので、連れてこれなかったこと。
「私を好きだからどうということはないの。彼は自分の立場をよくわかっているし、マルグレト様とのことも祝福してくれていて――。ただ、彼と私はとても距離が近いから、貴方に心配をかけることもあるかもしれないと……」
「それで置いてきたというわけか。なるほど、そんなことがあったんだね……」
マルグレト様はうーんと考え込み、
「その判断は、たしかに合っていたかもしれないな。そんな男性が側にいたら、私は気が気じゃなかったかもしれないし」
と笑った。
「でも、その人ってきっとあの人なのでしょう、ほら、貴女の家に行った時に側にいた、青い髪の……」
「ええ、そうよ。よく覚えているわね」
「これまで貴女といるのを何度か見かけていたからね。彼は今グランシェド家にいるの?」
「いえ、もうグランシェド家からは暇を出したの。領地に帰って、今は向こうの軍隊で騎士になるための訓練を受けているわ。長年私の側にいて、必要な訓練を受けてこられなかったから」
「なるほど。でもそれは、こちらでも受けられるよね?」
「――え?」
「もし本人が問題ないと言うなら、今からでもこちらに呼んではどうだろうか」
「え――」
私は呆気に取られてしまった。
まだ私からは、こちらに呼びたいなんて一言も言っていないのだ。
「で、でも……そうなったら、私はしょっちゅう彼を部屋に呼んでしまうし、きっといい思いはされないかと」
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