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「それはこれまでと変わらないことなのでしょう? これまで以上に親密になるというのなら、ちょっと問題だけど」
「それは断じてないわ」
両手を左右に広げて否定すると、マルグレト様は吹き出した。
「それだけ意志が固いなら、貴女を信じよう。それに、彼もきっと、私を裏切らないでいてくれるだろうし……」
なぜそう思うのかしら、と思って、私は首を傾げた。
「いや、あの時ね――私が貴女を王宮に迎えたいと言って、貴女がいい返事をくれた時、彼は貴女の後ろで、とても……とても幸せそうな笑顔を見せたんだよね。大切な人の思いが叶って、心から祝福しているような……。その時にも、貴女は本当に家の者に愛されているんだなと思ったけれど、ハハ、違う意味で愛されていたとは。でも、それにもかかわらずあの瞬間、咄嗟にあの笑顔が出る人なら、その幸せを踏みにじるようなことはしないんじゃないかと思う」
「マルグレト様……」
「でも、一つだけ条件を出そうかな」
「条件?」
「デミルカの護衛だけでなく、私の友人にもなってほしいなと……」
私はアレンに代わって二つ返事で了承した。
「アレンでよければぜひ、仲良くしていただきたいわ。ちょっと口の減らないところはあるけど、きっといい話し相手になってくれるから。でも、彼が来たからといって私と会ってくれなくなってはイヤよ」
マルグレト様は笑って、
「それはこちらの台詞なんだけど」
たしかにそうだと思い、私も笑ってしまった。
「では、私から彼に手紙を書いておこう」
「父が近いうちに領地に行くと思うから、渡してもらえるように頼みましょう」
アレンが来たら、きっとまた楽しくなる。
マルグレト様と街に出ることもできる。
二人でいろんなものを見て、いろんなことを知って、共有して――先のことを考えると、楽しみで仕方ない。
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