鬼の国

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 あれから8年の月日が流れた……。  あいもかわらず、誠はオニンピックに出るが結果は一番最初に出場したベスト4が最高で、後は2,3回戦で敗退していた。  やはり誠以外が弱いのでは話にならなかったのだ、これこそが正にオニンピックの厳しさであり、毎回優勝する町が変わる理由であった。  変わった事と言えば、誠は美琴と4年前に結婚した。  大会後、何度も何度も誠に会いに来る美琴にとうとう誠は観念したのだった。  結婚式は誠の館で行われた。  オニンピックの初期メンバーは全員参列する。  誠と美琴が結婚する丁度一年前、凛と武蔵も結婚していたのだった。 「次はあんたの番ね!」  凛は美琴に幸せいっぱいの笑顔でそう言うと、美琴にブーケットトスを渡していたのだった。  そして、今度は美琴が二人を招待する番となった。 「みこと、念願の夢が叶ったわね。大将にたっぷり幸せにしてもらいなよ。」 「我、感激!!」  凛と武蔵も美琴の結婚を祝福する。  しかし、結婚式でも誠の表情は不愛想だ。  そんな誠を見て美琴は言った。 「もう、相変わらずなんだから。でもね! 絶対私が誠を笑顔にして見せるんだからね!!」 「勝手にしろ。」  誠の言葉は相変わらず酷いが、その顔は少し照れ臭そうである。  嫌いではない。  しかし、愛を知らない誠には、愛するというこがわからなかった。  そして今、結婚生活も4年が経とうとしていた。  誠は相変わらず、美琴に愛しているの一言も言えないでいた。  愛が何かまだわからないのだ。  しかし、美琴はめげることなく何度も「愛してる」と言い続けた。  そして、決まって口癖のように何かある度に   「ねぇ、愛してる?」  と聞かれるも、誠はそれに応えることはできないでいた。  それでも美琴は幸せそうだった。  子宝にこそ恵まれないが、誠はそれなりに美琴を大切にしていたし、美琴もそれがわかってはいた。  だから、今日も美琴は元気いっぱいの笑顔である。 「まこと~、今日道場に新しい子が来るんだって。秘書さんの子供らしいよ。」  誠は町長からの依頼で、仲間を強くするために道場を開設し、若手の指導を依頼されていた。  誠も、流石に何度もオニンピックで勝てないのに嫌気がさしてきたし、やる事もなかったのでそれを引き受けている。  実際、誠は意外に教えるのがうまく、門下生に厳しく接するも、その強さからなのかとても慕われていた。 「ふん、どうせすぐ根を上げて帰っていくだろう、そいつは何歳なんだ?」  期待はしていないが美琴に尋ねる誠。 「えっとねぇ……。たしか12歳だったかな?なんかお友達も連れてくるみたいよ?」 「そうか……。まぁあいつには世話になったからな、少しは面倒みてやるか。」  そういって誠は道場に向かうと、道場からは相変わらず元気の良い稽古の声が鳴り響いていた。  そして気付く。  道場の前に見た事がない少年達が立っていることに。 「お前たちか? 新しく入門するのは?」  誠は真ん中にいる金髪で顔の整った少年に声をかけた。 (ん? こいつらみんなハーフか? 顔がみんな人族に近いな……。) 「はい! 先生! 自分は修羅と言います! よろしくご鞭撻をお願いします!!」  その少年が誠に挨拶すると、続けて他の少年たちも誠にお辞儀をして挨拶を始める。 「そうか……。なかなかいい返事だ! よし! すぐに稽古に入る! まずはお前たちの力を確かめるから準備しろ!」  誠がそういうと、続いて少年たちもまた道場に入っていくのだった。 
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